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堀江美都子さん 40周年記念1万字インタビュー

PART1
アニメ&アニメソングが好きな人全てに贈る、堀江美都子のが「アニソン」への愛。
口から出ずるその一言が後人の道となり、その振る舞いが業界の道となる、そんな彼女の語りかけを存分に。
そして、いつまでもキュートな“ミッチ”の魅力も堪能してください。
今年の目標は“頑張る”!
2009年は40周年という記念すべき年として、様々な活動を見せてきました。ここまでを振り返っていかがですか?
堀江 そうですね。私は元々、のんびりと、申し訳ないぐらいにマイペースでやってきたんですね。自分で設けたその年の目標をクリア出来れば良い、という気持ちで。本当はねぇ、もっと売れるため、ヒット曲を出すため、頑張り続けなければいけないんですけどね。歌い手ですから。でも、そういう頑張りとは少し違う(コンサートなどでの)頑張りを続けてきたんです。それをコロムビアというメーカーが温かく支え続けてきてくれた、という感じですね。ただ今年はがねぇ……、忙しすぎる(笑)。こんなに頑張って、「何かあったら嫌だな」と思いますよ。でも、記念になる一年だから。この先の十年を考えると、どうなるか分からない年齢になってはくるので、「今が一番頑張らなきゃいけない時だ」と自分に言い聞かせながら頑張っています。
すると今年の目標は“頑張る”ですか?
堀江 そう、今年は“頑張る”なんですよ。いつも、自分なりには頑張ってはいますけれど、時間や仕事の量を増やすことはなかったので。それが今年は、かなりの時間を仕事にあてていますね。あと、1月の『AJF』(ANIME JAPAN FES)に出演する時、心に決めたことがあるんです。それは「いつも歌に心を込めて1曲ずつ歌っているけれど、今年は120%ぐらいまでパワーを出そう」ということ。「いつもより余分に歌ってます」(笑)という感じで、1ステージずつこなしてきました。
― 一生に一曲という「キャンディ」 ―
今年8月には、40周年を飾るBOXセットの『MITSUKO HORIE 40th~ANNIVERSARY BOX~』が発売されました。やはり堀江さんということで、歌をポイントとして振り返りたいのですが、記憶に挙がってくるのはどういった曲ですか?
堀江 そうですね。まずは、コロムビアに紹介されてやってきて、同じぐらいの女の子が七、八人いる中からオーディションで選んでもらったデビュー曲。これですよね。「紅三四郎」を歌ったからその後があったわけですから。この作品との出会いは、最初の“思い出に残る曲”です。その次に、少し跳んでしまいますが「キャンディキャンディ」に行きますよね、やっぱり。キャンディの前にあたる頃が、曲数としては一番多く歌っているんですよ。すごく凝縮した時期でした。で、その頃になると自分の中に、「どうしてアイドル歌手とは違うんだろう」という素朴な疑問が出てきたんですよ。今だからこそ解決していますけれど、ずっと思い続けていたんです。ただ、そんな時に「キャンディ」を歌って、ヒットして……。そこで、そういった悩みみたいなのが一切なくなるわけですよね。
どうして悩みがなくなったんですか?
堀江 だって(アイドルと)同じように出来るんですもの。やりたいと言ったことが全部出来てしまう。どこに行ってもお客さんはいっぱいだし、まるでアイドルみたいな扱いを受けるんです。それは嬉しかったですよ。でも、あんまり忙しすぎて「ちょっとやだな」とは思いましたけれど。怠け者なのでね(笑)。だから、「キャンディ」はやっぱり、「一生に一曲」という曲でしたね。ただ、何でも出来るようになると今度は、オリジナルも歌いたい気持ちが出てきてしまって……。アニメというフィルターがないところで勝負したいと思ったんですよね。で、またコロムビアが良い会社ですからねぇ。「やればいいじゃない」って9枚もアルバム出してくれたんですよ。ヒットもしないのに(笑)。それでも10万枚ぐらいは売れたんですけどね。でも、自分としても、オリジナルを歌ったのは挑戦ではありました。ある意味クーデターみたいなものでしたから。「アニメをやめるのか」みたいに受け取る人もいました。ただ反対に、シンガーとしての“堀江美都子”を支持してくれる人も増えたわけですから、やっぱり大きな一つの転機ではありました。その後、アニメソングを歌う数が減ってくる時代に入るんですが、今度はそこで“声優さん”という一つの切り口が実っていきました。当時の作品はどれも思い出がありますけれど、特に『愛少女ポリアンナ物語』には「窮地を救ってくれた」みたいな思い込みがありますね、自分の中では。
「救ってくれた」というのは?
堀江 ちょうど結婚した時期でもあったんですが、気付いたら週に1曲も(私が歌う)アニメソングが流れていないような状況でした。(『ポリアンナ』の)オーディションにも歌ではなくて声で呼ばれたんです。ポリアンナというのは、人を幸せにしてあげるエンジェルみたいな子なんですが、台本の中にいるその子に何だか自分が救われていくような感じがして。「ちょっとめげていた自分が元気になれた作品だったかなぁ」と思っているんです。
- 頑張ればきっと“山”は来る -
80年代のアニメを見ていた者からすると、堀江さん=声優というイメージを持っていた人も多いと思います。でもやはり、アニソンを歌う自分でいたい気持ちが強かったのでしょうか?
堀江 そうですね。「歌いたいけど歌えないのかなぁ」という頃だったかな。でも、声優さんのレギュラーが週に5本ぐらいありましたので、「必要とされる場で頑張れば良い」と思いながら続けていたんですよ。それに、声優さんはすごく楽しい仕事でしたから。歌とは違った意味で、本当にそのキャラクターになりきれるんですものね。「こりゃ楽しいな」と思って(笑)。そうやって一所懸命頑張っていたら、徐々に声のお仕事が増えて、さらに「これは嬉しいな」と思って余計に頑張っていました。多分ね、人には色々な切り口があるんですよ。例えば声優さん、例えばDJ。でも、自分が作り出す作品は、形が違っても同じだと思うんです。私だったら、きっと歌以上に自分を表現出来る手段はないんだろうけれど、「その時に一番何がタイムリーなのか」というのはやっぱりあるんですよね。「たくさん歌は聞いたけれど(演じる)声は新鮮だ」ということで声優さんをお願いされる。タイムリーだったんですよね。だから、5本も6本もレギュラーをいただいて。そのうちに、たまたまキャラクターソングを歌ったら、今度は「歌が新鮮に聴こえるね」ということで歌う機会が増えていく。やっぱり、そういう“流れ”というのはあると思うんです。だから、「腐らずに頑張っていたら、きっとまた“山”の部分が来るだろうな」とは考えていました。
まさにポリアンナ的な、ポジティブ思考ですね。
堀江 もうポリアンナそのもの。洗脳されたから。“良かった探し”しなきゃ(笑)。
『Dr.スランプ』『愛してナイト』(共に1983)『ポリアンナ』(1986)『ひみつのアッコちゃん(第二期)』(1988)など、多くの作品で演じながら歌も歌ってきました。堀江さんにとってはどのような感覚でしたか?
堀江 やっぱり私の中では、「主人公の声をやって主題歌を歌う」という、その完全なパターンに対しては特別なこだわりがあるんですよ。それは「より作品に深く関われる」ということなんですけれど。そういう意味では『アッコちゃん』が嬉しかったですね。あれも声が先に決まっていたんです。そこから歌の話が来て……、「完璧だ」と(笑)。その前に『愛してナイト』や『ポリアンナ』もありましたけれど、自分の中で「完璧な形が来た」と思ったんですよ。だから、リメイクでしたけれど、自分が初代のつもりで歌っていました(笑)。でも、私が昭和43年の『アッコちゃん』を歌っていたかのように宣伝されてしまうので、ちょっと控えめに「2代目なんです」とは思うんですけれど……、やっぱり「完璧だなぁ」と(笑)。
80年代後半からは、「アニメ冬の時代」と言われる時代に入りました。
堀江 そうですね。本数自体も減って、コロムビアとしても(アニメソングが)少なかった時期でしたね。私としては、『聖闘士星矢』(北極星のヒルダ役)の頃から役柄が主役ではなく、脇に回って“イイ”役にシフトし始めましていました。『セーラースターズ』もそうですね。歌的にも挿入歌が多かったです。挿入歌でどうしても抑えたいバラード、といったところで起用されることが多くなっていたかな。『パプワくん』(挿入歌「僕らの島」)とか。
主題歌と挿入歌では、歌に対するスタンスは変わりますか?
堀江 主題歌歌手として育てられているから、主題歌には特別な思いがあるんですよ。挿入歌は、オリジナルソングを歌うときの精神状態に少し近いのかな。主題歌は別物なんです。というのは、昔はTVサイズとレコードは全く別にレコーディングしていましたから。今のように、録ったテイクを編集してTVサイズに、というのではないんです。演奏も全てTV用に録るので、テンポが違っていたり、歌詞が違っていたりもありました。主題歌歌手は、そこに全精力をかけて歌うんです。それが染み付いているので、全く違う高みに自分を持っていって歌う、それが主題歌だと思っているんです。挿入歌を歌う時は、アルバムの一つの楽曲としてどう歌おうかな、という感じですね。
そして2000年代、40周年へと向かうわけですが、最近において、堀江さんの気持ちに変化は現れていますか? 例えば、悟り的な境地ですとか。
堀江 はははは(笑)。いや、客観的に人が見たら、主人公からバイプレーヤーに、主題歌からエンディングに、とシフトしているように見えると思います。でも自分の中では、主題歌であるとかエンディングであるとか主役であるとか、そういったことよりも、「一つの曲、一つの役に課題を持って、どれだけ表現出来るか、どれだけ頑張れるのか」という場所に進んではいますね。元々、「有名になりたくないなぁ」「テレビは好きじゃないな」というのがあるので(笑)、今のポジションはとてもやり甲斐があるし、居心地が良いし、すごく幸せなんですよ。国内もそうですけれど、海外でも評価してくれる時代になりましたし、今がすごく充実してる時ですね。
Photo/平間明彦 Text/清水耕司(超音速)
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