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最新シングル「and Becoming」発売記念 鈴村健一ロングインタビュー!!

1月27日に4thシング「and Becoming」をリリースした鈴村健一さん。渾身のアルバム『Becoming』を集約した珠玉の1曲となりました。カップリングにはかつての名曲「いぬ」をリアレンジして収録。このシングルで、2010年バージョンの鈴村健一を見つけられるはず! では、鈴村さんにお話を聞いてみましょう。
このシングルで、「Becomingプロジェクト」は終了です
発売中の最新シングル「and Becoming」。また興味深いシングルになりましたね。
鈴村 アルバム『Becoming』に収録されている「becoming soon」と「Becoming」が1つの曲だった、というわけです。前回は15曲を使って、アルバム全体のトータリティを出す作業だったのですが、今度はその15曲を集約して1曲にするという逆の作業でした。
パズルをバラバラにして、そのピースを使って、また違った絵を作っていくような。
鈴村 なかなかおもしろかったですね。アルバムでは2曲目に「becoming soon」、最後に「Becoming」とあって、僕の中では、この2曲が曲と曲の間を繋ぐ、アルバムの中でグルグル回るループ感を出すイメージを持っていて。今度はそれを脱出するようなシングルを作りたかったんです。湖に川を作るような。なので、「静」から「動」になるような、曲調を明るくしたり、テンポも多少アップしたりは意図的にやりました。
「and Becoming」の歌詞には鈴村さんのどんな想いが?
鈴村 アルバムの“総括”ですね。もともと2曲だったこともあって、歌詞はそんなにひねらず、素直に出たというか。間の言葉は自然とはまっていったんです。なんの苦労もなかった。レコーディングも過去最高に早く終わったんじゃないかな。2~3回、通して歌っただけ。パーツごとに録ることはせず、一発録りに近い感じで。ライブ感を大事にしたかったんです。特にこの曲の後半はライブを意識した構成になっているので、歌詞も歌い方も小細工せずに作った曲ですね。
「and Becoming」というタイトルはどのようにして?
鈴村 いや~実はタイトルを付けるのだけが難航しまして(笑)。「なんとかBecoming」にしようと思ったんですけど、“Becoming”という言葉が強いので、その前に何か付けるのが難しくて。なので、深い意味もなく“and”を前に付けたんです。“and”は「そして」という意味もあるし、何かと何かを繋げる意味もある。どう捉えるかは受け取った人次第の言葉なので、意図的に汎用性の高いものを付けたんです。
PVはこれがまた素敵! 見ているだけで、あったかい気持ちになりました。最初はひとりでカメラを見ながら歩いていく鈴村さん。曲が2番になると、たくさんの人たちが挨拶しながら通り過ぎていく……。
鈴村 あれもレコーディングと同様、一発撮りですからね。監督の構想に僕の提案を加えていって、細かく詰めて、このPVになりました。出てくる人たちに関しては、僕からいろいろ提案させていただきました。というのも、出てくる人たちはみんな僕の人生に関わってきた人たちなんです。
そうだったんですか!
鈴村 給食のおばちゃんは、僕は小学生の時に好き嫌いが多くて給食が食べられなくて、いつも謝ってたんですよね(笑)。「あの時は、スミマセンでした」という気持ちを込めて。今は何でも食えますよ。それから、女医さんが出てきて投げキッスをしたりしていますが、これは僕が小さい頃、病弱だった時の主治医の先生が女性だったので出してもらったんですけど、まさかあんなセクシーな女医さんが来るとは(笑)。僕の女医さんはおばちゃんでしたから。その直後にビアジョッキ持って走ってくる2人組の男がいますが、彼らはガチの飲み仲間でして(笑)。フツーにしょっちゅう飲みに行ってる友達なんです。
着ぐるみの犬もインパクト抜群でした(笑)。これは鈴村さんが犬好きで、飼っているということもあってなんですよね。
鈴村 現場で監督さんが「犬! じゃれついて犬!」って叫んでいましたよ(笑)。ヒーローっぽい人が出てくるのは、もちろん僕が好きで憧れているから。コックさんが出てくるのは、昔、調理師になりたかったから。そんな、僕が生きてきた中で、関わりがあった人たちをイメージして出してもらいました。
最後には赤ちゃんを囲んでみんなで記念撮影して。
鈴村 冒頭に出てきた僕の手の甲に書かれた星と同じものが、赤ちゃんの手の甲にもある。種明かしとしては、その赤ちゃんは僕だった、ということなんです。
なるほど。現在の鈴村さんから赤ちゃんまで、ゆっくり歩きながら人生を遡っていく。そんな意味があったんですね。
鈴村 “Becoming”という言葉には、「生成、生まれる」という意味もあるんです。何かがどんどん生まれていく。自分が受けとめた刺激によって、いろんなことを感じとっていくんだよという言葉が“Becoming”だと僕は思っていて。「主観」って最終的に行き着くと、どうしても「孤独」というものに繋がる。「孤独」って嫌なイメージに使われがち。でも、ひとりだけど、この「and Becoming」のPVのようにたくさんの人たちと出会い、刺激し合うことで、自分って形成されていくんだと思うんですよね。それがすごくストレートに表現されたPVになったと思います。
そして、「and Becoming」のカップリングには、2005年に発表した「いぬ」が。
鈴村 先程も言いましたが、“Becoming”とは、自分の視点でいろんなことを感じとったものが血や肉となり生成されていくこと。だとすると、僕ら人間以外……例えば「犬」だったら、この世界はどう見えてるんだろう、って考えたら、すごく“Becoming”とリンクするなと思ったんです。ミニアルバム『box universe』に収録された「いぬ」は、「この世界は君にどう見えてんの?」という言葉から始まっていて、いちばん“Becoming”に近かったんです。
それでは、『box universe』は普段から聴き直していたのでしょうか?
鈴村 それが全然聴き直してなかったんですよねー。後ろを振り向かないというか(笑)。だから、今回のシングルで『box universe』の中から曲を選ぼうと聴き直してみたんですが、当時はこうやって歌ってたのかって驚きました。今年は初のワンマンライブもありましたし、ライブで昔のアルバムから歌える曲があってもいいのではないかと思ったんですよね。ちなみに、『box universe』はよく雑誌などで「幻のアルバム」と書かれていますが、まだ好評発売中ですよ(笑)。
また新しい曲として、生まれ変わりましたね。
鈴村 ロックになりました。当時の原曲の雰囲気が好きな方もいらっしゃるとは思いますが、それは一度やったことなので、5年経った今はやっぱり新しいことをやらなきゃダメだろう、ということで。歌詞はそのままですが、アレンジは劇的に変えました。今回、「いぬ」を歌ったことでわかったんですけど、僕自身、2008年にランティスさんでソロデビューをさせていただいてから、「歌」に対しての取り組み方も若干変わってきているなって。5年前は、内側で固めちゃおうってパウチしているイメージがすごく強かった。アルバムのタイトルも『box universe』といって、“箱庭”という意味もありましたから。外に向ける、というよりも、CDの中で完結するイメージを持っていたんですよね。歌うことに関しても、今聴くと、なんだか小細工が効いているというか小賢しい(笑)。技巧的に歌おうとしているような気がして。でも、それは当時やりたかったことだし、満足した1枚でした。今の僕は、歌って人に聴いてもらってなんぼだし、外に放出していくことが大事だなと思っているので、今回の「いぬ」は、“外へ外へ”を意識して歌いました。
タイトルに「331」と付いたのは?
鈴村 これはですね、うちには「もも」と「アイビー」という名の犬がいるんですけど、どちらも3月末に生まれたんです。我が家に来たのは4月に入ってからだったので、正確な誕生日がわからなかったんですよね。どちらか1匹の誕生日を調べて確定させちゃうと、ひいきになるので、だったら2匹とも3月末生まれ……3月31日が誕生日ということにしたんです。そこから、「いぬ331」というタイトルになりました(笑)。
3月31日って、ちょうど年度も変わるし、新しい生活にもなる。特別な日かも。
鈴村 いい意味合いですね! 結果論(笑)。ももとアイビーは相変わらず元気ですよ。
ジャケット写真も素敵ですよね。俯瞰での、大きな白い犬と赤いラグがインパクト大です。
鈴村 いいジャケットでしょ? お気に入りです。一緒に写ってる箱と等身大ポップは、アルバム『Becoming』で使用したものと同じなんですよ。アルバム発売後、使い終わったのでランティスさんが破壊する寸前で止めることができました。もう少しで粗大ゴミ行きでした(笑)。アルバムのイメージは踏襲しつつ、絵的には劇的に違ったことをやりたい。そうデザイナーさんと話しているうちに、ふと浮かんだのが俯瞰の絵のイメージだったんです。あと、犬が出てくること。この2つを伝えただけで、イメージ通りのものを作っていただけました。伝えたものが10倍にも20倍にもなって返ってくるなんて、僕は幸せ者です。今までも、詞の世界観は絶対的に僕のイメージを踏襲する、ということで、発信源は僕、鈴村健一でしたが、音楽もPVもジャケット写真も、もうちょいいろんなことができることがわかってきました。なので、もっと踏み込んで良いものを創れるような気がしています。
2010年はツアーで幕を開けた鈴村さんですが、今年はどんな年になりそうでしょうか?
鈴村 新しいことを始めるのってすごく勇気がいること。これまでもライブはやってきましたけど、単独というのは初めてだったので、ツアーは僕にとっては久しぶりに新しいことへの挑戦になりました。このインタビューを受けているのはまだ始まる前なのですが……不安です(笑)。
あら、意外ですね。
鈴村 修学旅行に行く前って、「やだな」って思いませんでした? 新しいことを始める瞬間って、「やめとけば良かった」と思う瞬間が必ずあると思うんです。カレーを頼んで待っている間、他の人が食べるラーメンを見て、「ラーメンにしとけば良かった」って思う。でも、カレーが来て食べた瞬間、ラーメンのことは忘れちゃうんだけどね。これって、ライブに限らず、アルバムを作る時だってそうだったし、声優になる時もそう。最初の一歩は本当に勇気がいる。でもやらなきゃ何も変わらない。不安と緊張をどうやって自分の力に変えていくか? 僕はそれがどうも好きみたいです(笑)。常に新しいことをやっていないとダメみたいな。こういう適度な緊張感は自分で生み出していかないと。「不安だけど楽しみ」って、ベタなコメントだけど、本当にそう思います。2010年は、00年代が終わり、世界も新章突入ということで、僕も新章に入りたいと思います。
2009年の鈴村さんも、いろいろなことやってましたよね。
鈴村 はい(笑)。2009年、楽しかったな~。ライブや音楽活動のほかにも、特撮CDを出したし、『超人タイツジャイアント』(アニメイトTV動画番組)では写真展もやりました。シングル『ミトコンドリア』では発売記念イベントで学会も開きました(笑)。
謎の新ユニット、STA☆MENのDVD企画で、沖縄に弾丸ツアーしたり(笑)。
鈴村 (笑)。意外と書きものをたくさんして、パソコンのキーボードがへこみました。僕、声優なんでね、しゃべる仕事だけやっていればいいと思うんですけどね(笑)。写真展の文言を考えたり、企画書を書いたり、イベントの構成をしたり、学会の論文(?)を書いたり。いろんなことがやれたので、楽しかったですね。2008年は種まきして、2009年はそれが芽を出した年でした。
昨年は鈴村さんがやってきたことの芽が出た年。今年は花が咲きそうですか?
鈴村 咲かせたいですねー。始めた以上は続けていかなければならないので、せっかく芽が出たんだから、枯らさないようにしないと。そして、花を咲かせられたら、最高ですね。
では最後に、Becomingしてくれているファンの皆様にメッセージをお願いします。
鈴村 アルバム、ライブ、そしてこのシングルで、この「Becomingプロジェクト」は終了となります。今まで、Becomingしてくれたみなさん、ありがとうございました。このシングルを聴いてテンションが上がった皆様。僕はまた新しいことをやりますので、これからも応援してくださると嬉しいです。
TEXT/磯貝綾子
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